貧血について①
私ごとですが、ここ数年、体が重くだるいし、疲れやすくなってきていました。更年期に入ったからとか、運動不足のせいかも、などと思いかなりハードなエクササイズをするジムに入り月8回ほどのトレーニングを始めて1年。趣味の登山で、まさかの標高2900m地点で息苦しさと動悸であえなく下山することになってしまいました。どこかおかしいのかと思い採血をしてみると、ヘモグロビン値9.2g/dl, フェリチン値4.9ng/ml未満と立派な貧血。歳のせいにしていた症状は実は貧血からだったのです。みなさんはこのような経験ありませんか。外来で疲れやすい、と訴えられている方、要注意です。
今回は、私の経験を踏まえ、日本人女性の約5割が陥っているという、貧血についてです。
貧血とは
貧血とは、血液一定量あたりの赤血球またはヘモグロビンが少ない状態を言います。赤血球に含まれるヘモグロビンというタンパク質は鉄を含んでいて、ヘモグロビンが酸素と結合して体の隅々まで、酸素を運んでいます。
鉄が不足するとどうなるか
体内の鉄が不足すると貯蔵鉄から減り、さらに不足するとヘモグロビンがつくられなくなり貧血となり、酸素不足からめまい、息切れ、動悸などの症状が出現します。まるで、更年期障害の時の症状みたいですね。
しかし、鉄は血液中だけではなく、全身の機能に深く関わっていて生命維持にも不可欠なのです。例えば、
□ 骨、皮膚、粘膜の組織に含まれそれらの新陳代謝に深く関わる。
□ コラーゲンの合成にも必要。
□ 活性酸素の消去にも関わる。
□ 白血球の働きに関わり免疫力を高める。
□ 脳内の神経伝達物質の合成成分でもあり、情動や意欲、睡眠をコントロールしている。
鉄が不足するとこれらの働きも出来なくなりますから、お肌はぼろぼろでシミが目立ち、風邪を引きやすく、引くとなかなか治りにくい状態になります。また、些細なことでイライラしたりするのも、脳内ホルモンであるセロトニン(いわゆるハッピーホルモン)が合成されなくなるからです。また、睡眠ホルモンであるメラトニンは、セロトニンから作られますので鉄が不足するとなかなか寝つけなくなりますし、メラトニンの分解にも鉄が必要ですので、分解されずに体に残っていると朝起きづらくなるのです。そうなると活動時間にも影響してきます。
鉄の不足を知るには
血液検査をすることをお勧めしますが、項目が大事です。会社の健診、人間ドックでの採決項目にはないものなので、医療機関で採血することをお勧めします。
ヘモグロビン 血清フェリチン
鉄欠乏性貧血 <12g/dl <12ng/ml
貧血のない鉄欠乏 ≧12 <12
正常 ≧12 ≧12
次回は、治療や維持についてお伝えいたします。